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『猟奇的な彼女』 ★★★★ チョン・ジヒョンに陳謝!(再び)
チョン・ジヒョン/チャ・テヒョン

現在準備中の僕の3冊目のエッセイ集、『ミラノの犬、バルセローナの猫』のなかで、僕は自分がスカラ座へ初めていってみたときの話を書いてみました。そこに「こんなスカラ座の素晴らしさを知ることもなく、これまでオペラについてなにがしらにせよ、判っている気になっていた自分が間違っておりました、本当に申し訳ございません」というお詫びを書いています(笑)
今回ここで、僕はあれと同じお詫びをしなくてはなりません。以前の稿でチョン・ジヒョンについて少しきいたふうなことを書いてしまいましたが、本当に失礼いたしました。。。あの時点で、僕は『猟奇的な彼女』をじつは観ていませんでした。
いや、いいわけをさせていただくなら、話もさんざん聞いていたし、主題歌のヴィデオ・クリップもさんざんみていたし、チョン・ジヒョンの演技自体ももちろんTVドラマなどでみていましたから、なんだか勝手に想像してしまい、もうひとつ観てみよう、という気がおきなかったんですよね。。
実際観てみて、腰砕けてしまったのですが、ここでのこのチョン・ジヒョンの愛くるしさはどうでしょう! 完全に、僕の想像など凌駕しておりました。。

この可愛さをどう説明すればいいもんだか、ちょっと途方に暮れるものですが、僕独自の発音フェチともからめてまず羅列的に捉えてみると、
たとえば、授業を抜けようと誘うときのカジャァアのア、そして「ン??」っと口をつむって唇をよこへ引くところ。(韓国語では、日本語で女のコが促したり勧誘したりするときの「ねぇ」という間投詞は「ン??」となるんですよ(笑))それに続く彼女の「成功したぞ!」から「ああん、ちょっと、手術しに行くんだけどあんたがパパだってそういった。なんで?」のクレッソのソ。ウェーのエ。 
シノプシスを読んで、と渡すところの表情は(彼女は脚本家志望の役)じーっと、目を見つめたり、得意げだったり、めちゃくちゃ可愛いのですが、その1回目、「チッ!ヤ〜(=やい!)これはメッロ(恋愛ものの韓国語)映画じゃないぞ、エクション(アクション)映画ジャナ〜」のエクションのエのくちを横に引いてる感じとか、ジャナ〜といってエバってあごを後へ引く感じ。後半で「チェミ・イッケッチ!」(面白いぞ!)といって読ませるとき、チャ・テヒョンが嫌な顔をすると、唇をめくりあげますが、あれも韓国特有の表情で、威嚇的なイメージ、舌打ち的な音というか、「ノ・チュゴォオ!」のチュという音みたいなものが(笑)潜んでいるわけですね。・・・もしかして、この映画を観て韓国語を覚える人が最初に覚える単語は、「チュゴォ!」かもしれない、という気もしますが。。。(「死ぬぞ!」)
抑揚とかもね、試験を受ける日は、というとこの、ノー・パンティダのダ、100日記念に誘うときの、ノ・チグム・オディイッソ? キダリョ、のリョ。(お前今どこにいる? 待ってろ)ニガ・チッチョッp。アラッチ?のッチ。(あんたが直接。判ったね?)などなど・・・。

この僕の発音フェチ、音フェチの部分をもう少し普遍化してみると、要するに僕がどの辺の音に弱いのか、というと、まず、
韓国語の母音は日本語よりも豊富で、二重母音を別にしても、オやウもふた通りあり、日本語より口の開きが狭いものともっと広いものがあるのですが、たとえば広い方のオはむしろ日本語のアに近い感じになります。この手の、日本語より少し口が開いた系統の音ですね。
さらにそれをせりふひとつずつまるごとからみると、
誕生日の誘いのメールのナレーションなんか、完全にそうですが(すごくよく録ってある、と思います)
結局下称、字幕ではタメ口と訳されていますが、対等以下扱いのぞんざいことば、パンマルの語尾の生き生きした感じだということになるんででしょうね、やっぱり。。。

しかしここにはまた、スクリプト、そして監督の力、というのも大きくて、というのは、逆説的ですが、何もチョン・ジヒョンやチャ・テヒョンが、ふたりともたいへんな逸材であるということは常に判るとはいえ、毎回これほどすばらしい、というわけではないからです。彼らの力が十二分に引きだされている、この作品ならではの彼らの魅力、というものもあると思います。

さて。この映画が極めてインターナショナルなつくりになっている、ということはいえると思います。いろいろあると思いますが、たとえば、僕が気づいたところでいえば、ここではチョン・ジヒョン殆んどウェミョンしませんね。いや、「ウェミョン」というと正しくは違うのですが、韓国人には冗談じゃないぞ、ばかにするなよ、失礼だぞ、という意思表示などとして、一旦横を向き、「マルド・アンドゥエ!」(話にもならない!)と思いながら、フーっと息を吐く、それでストレスを解く、という独自の風習があって、韓国の女優さんには基本的な演技プランなんですが、ここではそれがせいぜい2,3回、はっきりしたものは1回くらいしかありませんね・・・。

一方、極めて韓国的、といえる部分もあって、上手くマイルドにされていますが、とりあえずこのふたりが別れよう、ということになる理由、これがじつはさっぱり判りません(笑) もちろん後付の理屈を付けることはできますが、登場人物に感情移入しながら観ていれば、少なくとも、日本人にはどうしてそういう展開になるのか、理由が判りません。当然です。その時点ではまったく説明されていないからです。日本人にとってはここで、少なくとも、どうして別れるのか、という理由についての話が必ず出てしかるべきです。アメリカ人でもそうでしょう。ところがこれは、『同感』でもそうなのですが、じつは韓国映画の定石、韓国人には無理のない、たいへん好まれる展開のようです。このあたりは、極めてローカルな感覚なわけです。ちゃんと話せよ!説明しろよ!!お互い語り合えよ!!!と韓国ドラマに慣れ親しんでいない人には、どうしても思える部分ではないでしょうか(笑) 説明なしにこれを韓国人が自然に受け入れられるというのはどういう思考回路なのか、またどうしてそうなっているのかという文化的な理由は、僕が見ている限りでもそれなりにちゃんとあると思うのですが、まぁ、ここではそこまで立ち入らないことにしますね(; 少なくとも、韓国人と付き合うには、まず相手の行動を黙って一旦受け入れ、その意味を自分なりに理解しようとつとめる。次に初めて、それはそうだろうけど、それでは俺の立場はどうなる、こっちの立場も認めてくれ、と行くのがいちばんスムーズなような気はしますね(笑)

そしてこのふたりが再会するとき、ふたりともがその別れの時点で、石のように時を止めてしまい何も変わらぬ愛情を保っている、というのも、極めて韓国人好み、定番といっていい展開です。もちろん、人が時間の中に生きる以上、こんなことは現実にはありえませんから、これはひとつのメルヘン、ファンタジー、といってしかるべきです。ファンタジーやメルヘンといっても、必ずしもただの絵空事、とはいえず、それがかえって真実を衝いている、ということもままあるものでしょう。。。
それが現実にあることか、ファンタジーなのかはともかくも、僕は韓国ドラマに通底する、真実の愛を証すには時間の経過が必要である、というテーゼないし定理は、正しい、と思っています。だから韓国のドラマは人を感動させるのだ、とも思います。 けれど、この観念が韓国人にコモンセンスとして獲得されているのは、僕には「行きがかり上」のことではないか、とも思えます。つまり、論理的に獲得されたものではない、ということです。
今後韓国が日本やアメリカを念頭に近代化をさらに進めていけば、いまなお韓国が抱えているさまざまなローカルで因循姑息な、現代では根拠も定かではない不合理な決めごとや思いこみの数々を捨てていくことになるでしょう。おそらくそれは、いいことなのでしょう。当面人を生きやすくすることでしょう。けれど同時に、このようなじつに当を得た、しかし根拠はない(そういう意味では不合理な)いまの韓国人にとってのコンセンサスも、捨てることになるかもしれません。それが僕には心がかりです。もし韓国が今よりもっと合理的な国になり、経済的な成功を収めたとしても、いまたまさか獲得しているこの根拠のない、しかし真実を見失うとしたら、それははたして本当にすばらしいことなのか。その時点に限定してみるならば、一概にそうはいいえないだろう、という気もしますね。。。

ところでチョン・ジヒョン。(と、結局そこへ戻るが)もう、ほんっとに髪がきれいですね。サラサラで! この髪のためなら、死んでもいい、というのは嘘ですが、ちょっと、怪我くらいならしてもいいような気もします(笑) お見合いに行くときの、白いスーツ姿もほんとに素的です。・・・いや、僕はただ、彼女の姿を見ながら、自分の昔のGFの姿を思い出していただけなのかもしれません。。。けれどそれは全て、過去のこと――この映画の打ち出そうとするテーマは、それが本当の真実であれ絵空事であれ、《未来と出会う》ということで、この作品がすてきなのは、それだからだと思うのです(; (2003.10.30)

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