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『40 days and 40 nights』 for Boys!
『同感/リメンバー・ミー』 ☆☆☆H
キム・ハヌル/ハ・ジウォン/ユ・ジテ
『時越愛/イルマーレ』 ★★★LL
チョン・ジヒョン/イ・ジョンジェ
またしても映画を観てもこちらのページにどんぴしゃり、という作品に当たらないサイクルに入りました(笑) そこで今回は変則的に、「恋愛ものの基本」について考えてみながら、みっつの作品をご紹介します。
恋愛ものの基本は相思相愛です。互いに愛する者をさえぎるものがあって、そこに葛藤が生まれ、ストーリィが生まれる。ハッピーエンドであれば、そのさえぎるもの、障害がとりのぞかれてめでたしめでたしとなるわけだけど、お互いに愛する者どうしであればこそ、その過程が応援できる、また後味もいいものになるわけです。
ただし、愛する者どうしに障害、という点で、不倫というのはよい恋愛もののモチーフだと思っている人(作者)は多いようですが、不倫は恋愛を概ね単なる我欲の部分に矮小化してしまうため、人間の愚かしさや醜さを描くのには相応しいテーマでも、読んで楽しい、観て楽しい作品にはテーマとしては本来的に不向きです。人間は本来愚かしく醜いものだ、と考えるのは自由ですし、むろん少なくとも一面の真実ではあるでしょうが、そんなことをあえてフィーチャーする必要性は僕にはないので、わざわざそういう作品は書かないし、読みません。そういうことは自分で勝手に考えて、重々承知の人(人間が愚かだなどということは、僕の場合本を読まずとも鏡を見れば判るので!)にはこの上教えをたれないでいただきたいものです。
不倫について付言しておけば、要するに恋のはじめが不倫であってもいいわけです。仕方ないですよ、人は過ちを犯すものですから。ただ、いつまでもそのまま自分たちの都合で、人を騙したり傷つけたりしてはいけない。きちんと責任をとって、謝って――恋が不倫で始まる、というのはそれ以前の選択に誤りがあったからで、結婚は社会的な行為以外のなにものでもない、社会がなければ結婚という体裁は不必要なわけですから、結婚は本質的に対・社会的な関係性なわけです。だからその失敗については社会にたいし、少なくとも自分と関係性のある人にたいして、過ちを謝罪する必要が文句なしにあるわけです――その上で新しく、一からその恋を深めていけばいいわけです。
失敗を謝罪し、古い関係を清算し、きちんと新しい関係をスタートさせる。これでいいわけですが、そんなことをいっても、そのために傷つけるひとがいる、ということをいう人もなかにはいるかもしれませんね。率直にいっちゃいますが、それは卑怯ないい草ですよね。なぜなら、あなたは既に人を傷つけているからです。そして、あなたは既に人に迷惑をかけている悪い人だからです。あなたは悪い人なので、「傷つける人が」などといい人ぶる資格なんかありませんよ。そんなもっともらしい、きいたふうなことをいう資格はありませんよ。そうやって自分の気持ちを多少でも安らがせるにたる、値打ちもありません。まぁ、現段階では、ね。どうぞ存分に、悪い人らしく、本当のあなた=悪人として、あなたの悪のぶんだけまわりの人を傷つけてください。どうぞこのうえ小ずるく人を騙したり、自分に都合よく、気持ちいいぬるま湯に浸るようなその自分の快楽のためだけに問題の解決を先延ばしにして、周囲の人をさらにこれ以上より深く卑劣に傷つけないでいただきたい。そう思います。「傷つける人がいる」ですって? いや、そういうのは盗人猛々しい、というのですよ( ; あなたには、そう思う資格も、そう思って痛めることのできる美しい心も、いまは実際はないのです。
過ちを犯すのはたしかに人間的だが過ちにとどまるのは非人間的だ、というキルケゴールのことばは、たいへん重要なものだと僕は思うのですが、このことばを肝に銘じて生きていきたいものですね!
美は、じつは美しくないものとの摩擦があってはじめて生まれる。これはそういう話なわけですが、ではこんないまの日本の現実を舞台に、どうすればアクチュアルで美しい恋の物語がちゃんと描けるのか・・・。なかなか難問であるように思えます。同じ恋愛先進国(??)として、アメリカもかなり似た状況が広くあるでしょう。
こんなことを考えたのは、まず『40 days and 40 nights』という映画をヴィデオで観たからです。
これ、僕独自のジャンルわけで行くと、所謂「ばか」系統にはいるわけですが(笑)ヤリまくりの男のコが改心し、40日間の禁欲の誓いを立て(彼はホワイト・エスニックなんでしょうね)たとたん、ほんとうに愛するひとに出会ってしまってさぁたいへん、というお話です。これだけでもそのおばかぶりが彷彿とするところだと思いますが(笑)アクチュアルな障害がないなら、作ってしまえ、というところですかね。さて、僕の評価は、うーん・・・★ではなく、for Boysとしておきました。ちょっとこのページに来ている女のひとに薦めよう、という気はしませんでした。でもboysであれば、さすがにこれほどの経験はないとしても、何となく想像できるところがあって、それでおかしいという部分があると思います。どたばたコメディで気楽に笑いたい、というboysにお薦めしたい、そんなありそうで意外にない、珍しい1作ですね。
最後にもうひとつ、韓国映画を。
『時越愛/イルマーレ』。これまた『同感』と同じ時を越えた交流、というのがモチーフですので、ぜひここで。前作で時をつなぐのが無線機であったのにたいして、こちらでは郵便受けがその役目を果たします。
主演のチョン・ジヒョンは『猟奇的な彼女』で日本でも有名になりましたね。そのキャンペーンで日本のニュース番組にでたのをたまたま(地震以来、僕はあのニュース番組は基本的には一切見ないことにしているので)みたのですが、映画やドラマでは判りにくいけれど、ああいうところでみるとほんとうにきれいですね。驚きました。
驚くといえば、彼女その番組のインタヴュー中に頭をはたかれて、もう、僕はほんとに肝を冷やしました。いくら見た目が日本人みたいだからといって(見た目が欧米人ならあそこでは頭をはたかれたりはまずしてないでしょうね!)日本のTV独特の「瞬間的に身内扱いしてあげた方が向こうにも得」という独自の価値観は共有されているわけもなく、彼女もまたほんとうに肝をつぶしたと思います。すごくびっくりしてたものね。この場を借りてほんとにお詫びしたいです。まぁ、僕がお詫びしても意味ないですけど。。。あれでは意味不明で失礼で横柄で頭が悪いのが日本人、という印象になりそうで、いかにも残念です。ああいうことが起こるのは、ひとつにはまた、韓国語が片言もわからない人が通訳と勘だけを頼りに「当てずっぽう」に司会をしているからでもあるなとも思いました。彼女自身のことばをちゃんと聞いていたら、あそこで叩いたりするのはほんとうに唐突というか意味不明、というよりほぼ不条理、inappropreateというよりinepitudeというか、embarrassingという他ないでしょう。彼女もそうだし、見ているほうもそうです。ということは愉しいのは司会者だけ、やっぱりなるなら司会者か・・・。いやはや。あんまり綺麗だからさわってみたい、という気持ちは判りますが、それなら素直に握手してもらえばいいだけなのにね。全く。頭が悪い上に失礼となれば、もう手の施しようもないでしょう?
それはそれとして、とにかくあれ以来、このひとはほんとに綺麗なひとだ、と思って、僕はすごく好意を持つようになったのですが、この作品にLがふたつもついているのは、彼女のせいというよりも、むしろ↑の『同感』の次に観たということも大きいかもしれません(笑)
『同感』の割り切れなさを引きずって続けて観てもらうと、なにしろ同じモチーフだけにすごく不安な気持ち(?)になるのではないでしょうか。僕もそうでした。だから、これがLLであるためには、そういう不安な気持ちがだいじなので(笑)あまり内容は説明しないでおきます。通常時に観ても★★★までは大丈夫だと思いますが、この流れで、ぜひ不安な気持ちでLLのぶんまで味わって下さい(笑)
もちろんこちらはいい映画、Lまでつくかはともかくも、本当にいい作品として、しっかりお薦めしたいです。この項、冒頭のセリフもじつは本作品からで、
“チグム ブット アジュ キン イヤギル シジャッカルテンデ,ミド ジュルス イッソヨ?”
日本語にすると「いまからとても長い話をはじめることになるけれど、信じてもらうことができるかな?」ということになります。いや〜、やっぱりお話はこうじゃなくちゃ・・・。お薦めです!!(2003.7.23)
追記:『同感』のもうひとりの女優、ハ・ジウォン。彼女は見た目がたいへん素晴らしいので、以前から男性には人気だったと思いますが、いまひとつ役に恵まれなかった、ということでしょう。いま時代劇版スケバン刑事みたいな(??)TVドラマに出ていて、これがびっくりの大はまり、でした。非常に抑圧された役柄で、B級の匂いやお色気は、ボーイッシュに、ストイックに抑え込まれ、凛々しくて、じつにいいです。いや、よかった、よかった。おめでとう!(笑):『茶母』。(2003.9.6)
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