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『愛しのローズマリー/Shallow Hall』 ★★ 女は顔だ
グィネス・パルトロウ/スーザン・ワード

 おばか映画なんだろうなー、と思いつつも、ついつい見てしまいました。ご存じだと思いますが、心の美しさがそのまま外見として見えるようになってしまった主人公が起こすどたばた、というような筋立てです。もちろん、問題アリアリ、でした(笑)
 たとえば、テーマとしてひとは外見ではなく中身だ、という非常に判りやすいものがここにはあると思うのですが、そのことを画で見せるために主人公の視点と他の人から見た視点で、極端な落差が付けられているんです。つまり心の綺麗なひとを表現するためになら、それこそモデルみたいな女のひとが山ほど出てくるんですよね。モデルというのは、それはそれでこの世のものとも思えないというか、人間離れしてるといってもいいようなところがあり、その人が主人公以外からみれば綺麗ではないことを表現するために、こんどはまた逆に極端な容姿のひとも出てくるわけで、この両極端なめりはりが殆んどフリーキーというか、なんというか、人は容姿ではない、というのがもしテーマだとしても、それを表現するためにものすごい容姿差別をしているというか、なんだかこれはこれでほんとにいいのか?という疑問の残る、単純におもしろがりにくい面がありました。でも、そういう意味では、これは図らずもものすごく綺麗な女のコがいっぱい出てくる映画でもあって、綺麗な女のコがみたいという人にはじつはお薦めの1本、なんですね(笑)。
 さらにつっこめば、容姿の綺麗さに現実には通常これほどの差がないように、心の綺麗さといったって、そんな極端なめりはりはないはずです。たいていのひとには心の綺麗なところもあるし、そうでないところもあって、それが人間的なわけですから。また、これも主人公の視点と周囲の視点の違いを強調するためとはいえ、殆んど一律、主人公には綺麗に見える心の綺麗なひとは現実、つまり他の人から見れば極端に綺麗でなく、心が汚いために主人公には綺麗でなく見えるひとは、現実には決まって綺麗、というあんまりといえばあんまりな判り易さになっているのも、かなりばかっぽいです。
 と文句をいいながら、それでも一応ここで紹介しとくか、と思ったのは、かくも問題アリアリなのに、結構後味は悪くないんですよ、この映画。そこがかえっておもしろいなぁと思ったからです。
 さて、この作品中、ひとりだけ綺麗でなおかつ主人公から見ても綺麗に見える、つまり外見に相応しく心も綺麗、という女のコがいて、だれだろうと思ったら、なんとスペリング・ドラマでおなじみのTVスター、スーザン・ワードでした。(ティピカルなソープもの、サンセット・ビーチのヒロインのほか、確かマリブ・ショアーズみたいなタイトルの学園ものにも準主役で出ていて、ビヴァリーヒルズ90210の柳の下にあまたつくられた所番地もの(?)のスペリング・ドラマのなかで、いちばんヒットしたのはむろんメルローズプレイスですが、僕はこのマリブ・ショアーズ(?)が結構好きだったような印象があります)結局主人公はスーザン・ワードを振ってしまうわけですが、いうまでもなく、僕ならこの外見と心が見事に調和してるコにしますね(笑) あと、思わず心をさらわれてしまったのは、前半で主人公がディスコで一緒に踊るベラというコの友達のうちの(・・・相当端役です)髪の色が明るい方のコ、なんですが(笑)いや、この手の常に笑ってる系顔の女のコには、ほんとうに僕は弱いです・・・(笑)。

 ところでこの、ひとは外見ではなく心である、というテーマについて。じつは僕の友人、もとい、知人に「女は顔だ!」といってはばからないやつがいて、彼、いや、このばか曰く:「確かにだいじなのは人柄だ。見た目なんか3日で飽きる。でも、どうやれば最初から人柄が判るんだ? そりゃぱっと見で人柄が判れば俺もそれで付き合うよ。でも判んないだろ? だから入り口は顔以外どこにもありえないんだよ」・・・。いや、盗人猛々しいとはこのことでしょう。しかし泥棒にも三分の理、という話もあります。
 確かに乏しい僕の経験からいっても、あるひとが、ああなるほどこういう人だったのか、と腑に落ちるのは1カ月以上デイトを重ねたあとだった、ということもままある気がする。人柄がある程度まででも理解されるには、やはりそれなりに時間がかかるものでしょう。中にはこの映画の主人公とまではいかないまでも、特殊な才能というかパーセプションのある人もいるでしょうが、まぁ一般には。
 もちろん先の彼ですら認めるように、見た目より人柄のほうがはるかに大切なのはいうまでもなく、見かけは相当タイプでも、人柄がまったく自分の好みに合わなければ、3日は論外としても、持って1カ月というのがいいところ、でしょう。この人柄の理解と外見に飽きる時間をどちらも1カ月、といったのは、つまり、それがコインの両面だと思うからで、そのどちらに光を当てるかは読者諸兄、各人の良心にお任せします ( ;
 ごく稀には、ものすごいピンポイントというか、この顔なら悪魔でもいい!というくらい弱点を衝いた容姿のひとに出会ってしまい、もうほんとうに人柄がだめだと判っているのに呪いのようになんどもデイトしてしまう場合もありえますが(笑)でもたいていは「ああ、この人は見た目はほんとうに好きなんだけどなぁ。人柄がもうちょっと違ってたらならなぁ」と、別れに切ない思いをした経験が、きっとどなたにもあるでしょう。? ない? じゃあ、きっとこれからだな。って、脅したりして(笑)
 とにかく人柄から入る、付き合い出すというのは確かに難しくて、たとえば友達としてよく知っていても、恋人になるとお互いの行動も受けとめ方も異なってくる面もあるし、あるいは僕なんかの場合、エッセイとか、インターネットを通じても、考えや人柄をよくご存じの方もいらっしゃると思うけど、実際にお目にかかってなんどか話をすれば、なるほど、こういう人だと思っていたけど、実際にはちょっと違うんだな、と思われることもきっとあると思う。ああいっていたのはこういうつもりだったんだ、とか、あの件に関して力点はむしろこっちにあったのか、とか、ああいうところは本人特に意識せず書いてるんだな、とか。・・・つまり、文章はその人の内面を伝えるわけだけど、文章にするとどうしてもこういういい方になる傾向があるとか、書く時にこういう癖がでる、そういうふうにしか上手く書けない、ある面が文章の上では表立つといったような、ヘンだけど、いわば文章の「見た目」「ぱっと見」みたいなものもあるんだと僕は思っています。だから、たとえ文章から入っても、やはりあるひとの人柄が腑に落ちるまでにはそれなりに時間がかかる、顔ではないけど同じように「ぱっと見」、文章の外見、というと謎の表現かもしれないが、結構そういうあたりから入ってる、ということもいえると思うわけです・・・。
 ついでにこの際はっきりいうと「女はハートだ!」などとわざわざいうやつに限ってカラダ目的なことは男同士なら常識ですね。「僕はやっぱり人柄のほうがだいじだよ」とか、そんな小学生でも納得しそうなこと口にするのは100%「なんでもいいから、とにかくお願い!」と明言してるのに等しいです。そのあたりがどうも女のひとにはピンとこないようで、これもまた「世界は案外“悪者”が得をするようにできている」というのの好例ですね(笑) そもそもハートならぱっと見では判らなくても当然なんだから、そしてそれがだいじなのも正論だから、たとえば翌朝になって若干ハートが判ってきたかなー、と思った時に、やっぱり好きじゃないなーとたまさか思ったとしても、そこには一片の矛盾もないわけです。いや、恐ろしいまでの整合性ですね・・・。
 対して「女は顔だ!」といってしまえば、初期の段階で内面は当然判るはずもなく、判っているのは顔、ぱっと見、つまり所詮は表層なんだから、そのことを認めた上でそれでも相手を好きだといえば、それはその表層の部分が既に好きだ、ということになります。内面はまだ当然判らないけど、僕は君の表層が好きだから君が好きなんだ、という発言には、それなりの「胆のくくり方」がともないます。早い話、君の顔が好きだ、といってしまえば、翌朝になってやっぱり間違いでした、などというわけにはもちろんいかない。それこそ 「顔が見えなかったとはいわせないわよ」という話なわけです(笑)
 胆のくくり方、というのはつまり、とりあえず僕はこの人の表層しか判らないが、僕はこの人の表層がもう好きで、できればその気持ちをほんとうにしたい。いや、しよう、ということですね…。
「女は顔だ」というやつのほうがスーパーフィシャルではじつはない、といわれると意外かもしれないけど、少なくとも「女はハートだ」というやつのように今晩や明日、ここしばらく・正に目のまえのことばかりを考えていないことは間違いない。実際には「女は顔だ」というやつのほうが、ある意味よほどストイックだし、それどころか、遙かに精神的なパーソナリティの持ち主である場合さえありうる…。
 と、今回は例によって、僕好みの「転倒した議論」を展開してみました。(2003.1.26)

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