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『Mickey◆Blue◆Eyes』 ★★ 盛りだくさんとウェル・メイドは両立するのか??
ヒュー・グラント/ジーン・トリプルホーン/ジェームズ・カーン

 僕はいろいろな作品の分野の中で、じつは映画というのはいちばん関心の薄いほう、むしろ苦手な分野だということは認めます。それでもVTR中心ですが、年間、まぁ、7、80本くらいなら、最低でも観ていると思います。しかし、なかなかこちらのページでご紹介したい、という作品にはめぐりあわないんですよ。おもうに、映画にしろ本にしろ、僕なんかとは比較にならないくらいたくさんのものを職業的に調べていて、毎月といったペースで「面白い!」といって作品を紹介している人も最近のマスコミには多いですが、ああいうことは僕には実感としてちょっと信じがたいというか、まぁ、少なくとも僕なんかとは「面白い」という感覚が相当に違うのだろうなぁ、とは思います。というか、そういう作品との接し方をしている人と「月に1本しか観ないのだから(または)1冊だけしか読まないのだから、ぜひ面白い作品を観、読みたい!」というようなスタンスで作品に触れている、一般的な人との感覚が同じであろうわけもありません。だから、ああいう人が「面白い!」という映画や本が僕のような一般というか、普通の人にとっては、別におもしろくなくっても意外じゃないというか、まぁ、むしろとうぜんと考えるべきだと僕は思うことにしています。「そんなにたくさん観て(読んで)いるんならさぞ面白いものを知ってるんだろう」と思いがちかもしれませんが、「あ、それは私とは違う感覚の人だ!」と思った方がむしろ正解、ということですね…。――と、ここまではこのページではお決まりになってきた感もある、このページの更新が少ないことのいいわけ部分です( ;
 さて。そんな更新の少ないこのページですから、この作品は落とすわけにはいかないでしょう。あのMickey Blue Eyesが遂にVTRになりました! …といって喜んでいる人も、再び珍しいやもしれませんが、邦題としては「恋するための3つのルール」という、ちょっとイメージと違うものがつけられています。本作品は、この邦題が示唆するような所謂ラヴ・コメというよりも、むしろ「マフィアの娘に恋をしたために起こるドタバタ」プラス「その彼はイギリス系だった」というセッティング、カルチュラル・ギャップのコメディーなんです。ヒュー・グラントの奮闘や、ジェームズ・カーンのゆとりの演技を娯しんでください。
 しかしまぁ、ぱっと観てすぐに、リラックスして楽しめる、安心してたくさん笑えるよく出来た作品だということは判ると思うのですが、この作品、おしゃれというよりもドタバタという印象が強いです。いや、おしゃれというなら相当おしゃれな要素もあるんですよ。けれどそれが目立たない、というか。思うにそれは、あまりにもこの作品が盛りだくさんだからではないでしょうか。どうも近頃の映画にはその傾向があって、おもしろい別々の要素をたくさん集めたら(あるいは恐いとされる別々の要素を一本の映画に盛り込めば)もっとおもしろいはず(もっと恐いはず)という論法がまかり通っているように見受けます。それが事実そうである(よりおもしろいorより恐い)というよりも、所謂人目のひき方、宣伝のしやすさ、セールス・トークとして有効なために流行っているんだと思うんですね。この作品にも、この作品のもつ独特のtoo muchさにも、現在のそういう映画業界の悪弊の影響があるように思えます。上述のような利点というのは、いうまでもなく制作者側の金儲けの都合であって、今すぐどれだけの金が稼げるかという視点、近視眼的な視点であって、観客に利するところはもちろん何らありません。良質の観客が求めているのは、作品自体のクオリティでしかないのですから。
 けれど、これも考えようですが、この作品はそんな時勢の中で、どうやって上質のコメディが生き残っていきうるか、というチャレンジだととることもできます。これだけの盛りだくさんの要素がありながら、破綻もなければムダもほとんどない、というのは、やはり見事といってしかるべきでしょう。ひとつ僕なりの注目点を述べておくと、それだけ盛りだくさんでありながら、この映画にはセクシャルな要素がほとんどないです。唯一ややセクシャルなフッテージとしては、例のアル・グリーンがかかってヒロインが真紅のスリップに金のストラップ付きのヒールを履いて登場する場面があるのみで、このセックスレスなつくりは、僕にはむしろいさぎよく、清潔に思えました。(余談ですが、このヒロインの女優さん、口を開けた表情が印象的です。可愛いといえば可愛いが、ばかっぽいといえばばかっぽい。口を閉じていると知的な印象なのに(学校の先生の役だしね、お堅いかんじでしょう)口を開いたとたんPlaymate of the monthという雰囲気に(いや、イメージですけど)なってしまうのはなぜなのか…)
 観始めてすぐにリラックスして、安心して、なんども声を出して笑える映画なので、それだけに、この盛りだくさんさはむしろ要らないのではないか、この力量でもって、それこそロマンスに集中して映画をつくってもらえたなら、もっとずっといいものができるのではないか、という欲の部分で、手放しで褒めるのではなく、僕にはちょっと、ひと言いいたくなる1本でした。あなたはどうお感じになるでしょう??(2001.3.13)

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