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『ハッピィブルー』 ★★  ナイーヴな人たち!
デヴィッド・シュワイマー/グィネス・パルトロウ

 ナイーヴな若者の青春を描いた佳作です。大作ではないけれど、そのぶん画面や音楽など、シックなつくりになっています。
 佳作、大作ではないけれど…というと、このページでは『彼女は最高』を以前に紹介しましたが、あれがスクリプトの魅力による作品だとすれば、こちらはデヴィッド・シュワイマーのキャラクター一発、という作品ですね。対するグィネス・パルトロウも、ゴージャスでは決してないナイーヴな少女、という役作りです。彼女の少しファニーな顔立ちが繊細で脆い透明感となって、とてもよく生きています。
 思い出すこともできないクラスメイトの棺の運び手を引き受けてしまう主人公も(よくいえば)優しすぎる人物ですが、彼が高校時代から憧れ続けていた綺麗な女の子も実は…。そして彼の友人たちも…。登場するのはナイーヴな人ばかり。観ていて嬉しかったのは、この作品が最後にちゃんとそれぞれの関係に、それぞれの『和解』を与えていることです。以上の2点からサリンジャーを連想することは容易ですし、ごくマイルドな意味で「サリンジャー的」な作品、と呼んでしまうこともできるかもしれません。
 ただ、主人公がおばさんと関係を持つあたり、観ていてけっこうキツかったですね、正直いって(笑)。反対に、よかったのは主人公が友達とベッドで高校時代の女の子の話をする場面。プロット的にも重要なのですが、あれはひそかにいいシーン! また終盤、最後に彼女に会うフッテージ(主人公が"Was that a signal?"とかなんとか訊いて、そして…)は格好いいし、エンディングのキメの台詞"Let's move"もさり気にグッときますね。

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