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 ことば遣いの間違いと内容の軽重を混同する人もアメリカ人には多いかもしれないが、それはそういう民度にある人なのである。ひとつには、アメリカというのが特殊な国で、アメリカ人には、自ら主体的に“なる”ものだ、という面がある。そしてアメリカ人になるためには、英語を喋ることが不可欠で、よりアメリカ人らしい英語を話せた方が当然よりアメリカ人である、ということになる。さらに、アメリカはイデオロギー国家なので、普遍性を失うと立ちゆかない。だからアメリカ人は常に世界の人々からの同調を必要とするし、それが得られなければ自閉する。判りやすくいえば、あるレヴェルにおいてアメリカ人は「世界中の人がアメリカ人になれ!」と思っている、マジ、恐ろしい人たちなのだ。
 いや、アメリカ人になれ、とかいっても“いい意味”でだから、ファシズムとかとは全然違うんだよ。アメリカ人になるってことはイイコトなんだから、なれっていってもいいに決まってんじゃん。ほら、たとえば、ファシズムはぜってー認めねー、とかいう意味でアメリカ人になれ、ってことだから、それだったらOKだろ? っていうかもう既にお前もアメリカ人だろ、そういう意味では?? というような、有無をいわせないような、ちょっと考えさせてくれとでもいうと、なにー、「白」が「白」じゃないとはどういうことだ?? じゃあ、お前は敵か? 悪か? いや、悪魔なのかーっ ! ! と傷つきまくって、返す刀で空爆もアリアリ、となるような…。まぁ、かくいう僕自身、半分はそーゆー“いい意味”でアメリカ人なので、大丈夫ですよ、マイ・フェロー・アメリカン。なんら問題ない。西側諸国の一員として、一億玉砕、火の玉だ。(いい意味で)
 …思わず話がそれたが、ことばに戻ると、それが“生きた”ことばを学ぶことにあたるかどうかはともかくも、今風のことばを学校で喜々として教えることはロクなことではないと思う。先にいったように、それはアメリカ人を喜ばせるくらいのほかには意味がない。
 だって、日本語をみれば判る。日本語だって、現在のもののほうが以前のものより、少なくとも、よりすばらしい、というひとはいないのではないか。いまの若い子どもたちが使っているバランスの悪いことば遣いを(子どもとはそもそもバランスの悪いものである)見事に喋る外国人を、僕たちはどう思うだろう? たとえば、面白がり、感心し、そして自分たちのカリカチュアのように思い…逆に、そんなふうに英語圏の人に思われることは、どうだろう、少なくとも僕の望むところではまったくない。
 ネイティヴが今風であると感じる表現を追いかけることなどより、僕にいわせれば、あえて夢を語るなら、たとえかび臭いといえる表現でもかまわない、もしもネイティヴ・スピーカーに「日本人の英語を聞いていると、時々懐かしい気持ちになりますね」といわれることがあったらそのほうがどれほどいいか判らない。
 ヨーロッパに接する後進国であったロシアはヨーロッパの芸術を学び、さらに共産革命とその後の全体主義体制によって、たまさかにもその粋をながく守った。ピアノ、ヴァイオリン、そしてバレエ。文字通りのconservatoryだったわけだが、それこそパリの音楽院がコンセルヴァトワールという名前なのは有名だろう。そしてそれが芸術にとってどれほど欠くべからざる、肝心要の要素であるかもいうまでもないだろう。
 その文化はまた、革命の亡命貴族たちを通じて日本へも伝わった。少なくとも関西ではたいへん親しまれていたものだということを、音楽に限れば、気配のようなものでしかないが僕自身、時に感じながら育った。ご存知の通り今日では東京からの画一的な音楽教育の大成功/関西人の脆弱さのため、その文化は殆んど根絶やしになっているから、かの地がconservatoryとしての役割を果たすことは遂になかった。しかし、もしも他の文化を学ぶ者がその文化本流になにがしか報いるものがあるとすれば、そういうかたち、つまりconservatoryとして以外には、何もないだろう…。僕が問うているのは、効率や得失の話ではなく、誇りである。
 ? では世界のオザワはどうなのか、って? うーむ、確かに天下を取った、取ってしまった人物ではある。それはトヨタやホンダが世界のベストセラーになった(たとえば北米のセダン市場を席巻した)ことと本質的におなじ問題のように僕には思える。ベストセラーになることとモータリゼーションにいったい何を還元したか、ということは、関連はするけれど必ずしもひとつの話ではない。このあたり、もはやこの項に収まりそうにもないので、他日を期す。

(c) 2002 yuichi hiranaka  

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コメント 非常に洗練された、マーシャ・クラッカワーNHKラジオ英会話最終年度。CNNやハリウッド映画を観ていると聞こえてくる表現がいっぱいに盛り込んである。マーシャ・クラッカワー先生の旬の英語への見識と、研鑽に敬服。リスニングとスピーキングに分けられ薄められた現行のNHK英会話を聞くぐらいなら、時間効率からいっても、ダイアログの内容からも、この1冊をやった方がTVや映画を観るにもアメリカ人と話すにも、50倍くらいは役に立つと思いますよ。

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