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『恋愛適齢期』 ★★★★ Here is the tricky part.
ダイアン・キートン/ジャック・ニコルソン/キアヌ・リーヴス

まず男の視点からいうとこの映画は、60を過ぎて初めてまともにひとを愛してしまった、というおトボケ男の物語。63まで若いゴージャス娘に行きまくっていたわけですから、当然そう簡単には観客の許しが得られるわけもなく(笑)もう殺す以外はなんでもアリ、というリンチまがいの(Davidに非ず!)ストーリー展開になります。大スター ジャック・ニコルスンをしても、まだまだこれでも辛いわけで、現実の市井の男がもしこんな生き方をしてしまったらもう地獄の劫火に焼かれることは決定済み、といえましょう(いま、いやーな気持ちになった男性諸兄。…現実を受け入れましょう(笑)
しかも相手役はダイアン・キートン。彼女の魅力だけで★をもうひとつアッドしてもいいくらい、ほんとうに素的です。tandis que, これまたこんなすてきな人が現実の世界にいることはまずなく、この作品にあるような救いはますます夢物語のなかにしかなさそうです。

さて、ここからがtricky partです。
この映画では、ハリウッドでは主役になる頻度の低い年配の男女が主役になっています。しかもロマンティック・コメディー。本来ならここで快哉を叫びたいところですが、じつはこのふたりの恋は、内実としては、少年少女と変わりません。これは、人はいつまでもほんとに恋をすれば少年少女の心になってしまうのだ、ということ、ひいては人はいくつになっても本質的に子ども時代とそう変わらない、という普遍的な真理によるものなのか、それともハリウッド的な価値観によるものなのか。答はその両方だとしても、この映画でそれはどういう力関係になっているのか。

ダイアン・キートン扮するヒロインも離婚後孤独に過ごす年配の女性、ということがまず強く印象づけられますが、いうまでもなくこれほど素的だし、リリアン・ヘルマン以来の成功した女性playwrightでもあり、その上こんなに立派な娘まで持っている。おかげでいくら彼女がmenopauseの孤独な女性だと描かれてもそれほど辛くないわけでもありますが、しかしこれはちょっと考えてみれば最初っからだれもに「すてきねぇ」と羨ましがられるような人物像でしかありません。夢物語は、一方で人に規範を与えるものでもあるから、ここでは年配者が恋してちゃんと幸せになる、という夢物語が描かれると同時に、そのためにはこうあるべき、という規範・価値観も与えられることになります。こうみると、この作品、可能性と未来だけは文字どおり売るほどある若者にとっては夢となり得ても、大人にとってはさて、どうでしょう?

ハリウッド映画では多くは扱われない大人の恋をとりあげて、それが近年のフランス映画にままあるような制御不能な情動の力の描写に尽きるでもなく、人が結局我欲の虜だという一面の真実を訴えるのでもなく、いわばsweet and smart and funnyという枠のなかにおとしこんで見せたお手並みは見事だと思います。しかし結局これは成熟した大人のための作品というよりも、若者+いつまでも大人にならない大人のためのお伽噺、というようなところもあります。モラル:いくつになっても素晴らしい恋はできる。但し、あなたが子どもの心を持っていれば。…そんな感じです。
 それこそがハリウッドの本質じゃないか、といわれればそうかもしれませんし、このグローバリズムの(それはアメリカ的、ハリウッド的な価値観が世界共通基準化する、という意味なので)世の中一体どんな「成熟」の形が提示できるんだ、といわれれば、それもそうかもしれません。少なくともいま、この西側世界が大きくいって齢をとったトム・ソーヤとポリアンナたちの天下になりつつあるのはどうしようもない現実でしょう。
 このあたりの問題が一見成熟した大人同士の恋を描く、という体裁を持つこの作品では先鋭化します。現代のハリウッドが大人の恋を描くとどうなるか。ここでは、それが見事に成功しています。well-madeな作品、と単純に高く評価して、終わりにしてもいいでしょう。けれどそこを越えて、逆にそこから見えてくるいまのこの世界の姿、というのが、この作品を観る現時点でのさらなる醍醐味ではないか、という気がしました。面白いとか見事というだけではどうも片づかず、うーむと考えこんでしまったし、しかもジャック・ニコルソンの(ジャック・ニコルスンでも?)この姿は辛い。ただ、それでも全体の評価としては、どうしても、これ以上★を減らしては不公平、ということになるでしょうね( ; (2005.1.26)

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