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『花とアリス』 ★★★★L uptodateな抑制の美、またはある種のバレエ映画として…

最近フルマークを連発してるようですが、、、まぁ、いいものはいいので、仕方ないです。
このページ最初の邦画になりますが、そこもまぁ、韓国映画もいくつか採りましたので、邦画も観てみてよければ、やっぱり採ることにします。比較するに、この繊細さ・微妙さ・陰影は韓国からはまず生まれてこないだろうな、というような味わいです。韓国映画やドラマの美質が衝き動かされるようなパッションの爆発にあるとすれば、そもそも日本の美質はもっと抑制の美、みたいなところにあります。それがどうも上手く「美として機能しなくなった」というのがいまの日本の辛いところではないか、と思うのですが――それを表現するための形が失われている、そのあたりの欠落を、個性と才気で見事に乗り切っている、とまず思います。

本作の監督、出世作「打ち上げ花火」にたいへん感銘を受けた印象があるので、その後もできるだけ気をつけていて、短篇作品など、いろいろ考えさせられるところもあったのですが、長篇全体として面白かったといえば、僕にはこれがいちばんでした。
とにかく少女に対する愛がすごいですよね。たとえばウッディ・アレンが少女を描く。これだと僕はあまり驚かないというか、極端にいえば、そういうのなら僕にもある程度はできそうな気さえするわけです、正直いって(笑)。でもこの監督の少女に対する愛・・・多分、愛、としか呼びようないですね、、、これはちょっと真似ができない、という気がします。この種の思いはそもそも僕にはない、というか(笑)また家庭の事情とか不登校とか、主人公たちの行動にそういうはっきりした根拠が与えられる、これもまた多くの人に好まれる所以でしょう。このへんも、限定的な、あるいは特権的な世界になりそうなので僕は極力避けるのですが、そのあたり、映画はまた俳優たちが一生懸命演じて見せてくれるので、むしろ単純に、強い具体性も帯びてきますね。。。
映像としては、どうもデジデジで(笑)美しいというよりもある種の単調さ・薄っぺらさが最後まで時折気になりましたが・・・このあたり、僕がどこまでいってもアナログ人間(死語?)だということなのかもしれません。墨絵に代表されるような日本の色彩感覚を美しくフルカラーに置きかえるのは、デジタルじゃなくてもそもそも難しいんだろうな、とも思いました。風景なども、日本にだってもっと美しいロケーションもあるだろうに、、、と思わせますが、しかしこの微妙に殺風景なロケーションがこの作者にとっての丁度のリアリティ、なのかもしれません。
至極真っ当な問題提起もしておくと、この作品のなかでいわれていることに、ひとつでもほんとうに新しいことがあるか。うーん、どうでしょう? そういうものが表立ってはない、というのがこの作品の手堅いところでもあり、ポピュラリティでもあるのかもしれませんが、芸術作品である以上、そんなこと関係ないよ、といって済ませることだけは絶対にできません。しかしそもそもこういう真っ当な問題提起ができる、というのはこの作品がそういうことを問うべき水準にあると思える、ということの反映です。つまりこれはレヴェル以上のあらゆる作品においては常に問われるべき極めて普遍的な問題だ、ということですね。最近、みなさん失念されているようですが(冗談ですよ・笑)

本作を“ロマ・コメ”とはまぁいわないのでしょうが、前半など映画ならでは(audibleな)の微妙な会話で、かなり大笑いできます。でもあまりに微妙で、うーんこの笑いは、たとえば韓国人にちゃんと通じるのか?などと考えてしまいました(韓国でも、もっとも評価の高い日本の監督だけに)しかし、後半に至って、ちゃんとしっかり泣かせてくれます。これなら韓国人も大満足、でしょう(笑)
花とアリス、ということですが、アリスのほうには泣かせどころがたくさんあるけど、花には先輩に帯を締めてもらうところくらい、でしょうか(かなり充実した場面ではありますが)。全篇のクライマックスも、アリスのバレエ・シーンになると思いますが、そういう意味では、これもまた一種の《バレエ映画》として観ることもできるかもしれません・・・ひとついうと、僕も若い頃はファッション誌の仕事もずいぶんしましたが(笑)ここまでスカしたカメラマンはそうはいないと思いますよ。オーディション場面もそうだけど、あの辺はリアルというよりやはりマンガですね(笑)。・・・バレエを踊る女の子、というのは僕もとても好きなんだけど、ドガみたいな絵とか、こういう映画と違って、なかなか“踊っている姿”というものを小説にしっかり書く、というのは難しいですね…。


しかしこうみていくと、抑制の美、といってもその後にきちんとかなり明確な感情の爆発がある。このあたりが、たとえば韓国人にも愛される所以だろうし、その爆発のあり方やさじ加減が、この作者の絶妙なセンスで、それはもちろん彼固有の感覚なのですが、ひいては日本人ならではの美意識の、再生/uptodateな表現の可能性 にさえ希望をつなぐものだ、とも思えました。
いや、ほんとにあれこれ、いろいろ考えさせられました。みなさんもぜひ必ずご覧になって下さい(Just in case, ですが(笑) 。少しやる気がでてきました(笑)(2004.12.14)

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