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たとえば、韓国語で非難やあきれた気持ちを表すいいまわしに、「マルド・アンデェ!」(話にもならない!)というポピュラーな表現がある。一方、フランス人が「え! そんなの聴いてないよ!」と不満を述べるとすると、当然《Mais, tu m'as rien dit!》というわけであるが、この読みはだいたい「(メ、テュ、)マリアンディ!」という感じで、これまた感情を入れてリズム・グループを守りつつ読んでみると、なんだかふしぎなくらい、どこかそっくりにも僕は聞こえる…(笑)いや、気をつけていれば、もっと判りやすい例がいくらもでてくるだろう。
あるいはこれも僕だけだろうか、フランス語の半過去の動詞がnousやvousに活用した音を聞いていると、どうしても慶南訛りみないな、釜山とか南海とか、南のほう韓国語を聞いているような気がしてしまうのだが、どうだろう…。
また、フランス語の発音で日本人がわりにこだわるのがrだが、韓国語の濃音とこれは意外と近接している。濃音は喉の音されているけれど、軽くrの音を出す時、濃音にわりと近い感じで出すとむしろ自然なくらいかもしれない。
韓国語を勉強して、その多彩な音を実際に発音してみると、フランス語の各音はもちろん、それだけでなく、僕はじつは英語の音の聞き取りや、ネイティヴ風の発音だって一段と自在になったように感じている。特に、日本語では使われない――つまり、日本語の耳には雑音として切り捨てられてしまうさまざまな子音の響きが、それぞれの固有の音としてよりクリアに認識できるようになった、ということだ。あれほど(英語の発想から離れられずに)ぴんとこなかったフランス語のリズム・グループによる文の把握も、ずっと自然にできるようになった。
しかしそれにしても、なぜまたフランス語なのか、とやはりあなたは思うかもしれない。じつは僕が特にフランス語をもう1度やろうと思った理由も、そこなのだ。
だいたいいま英語を勉強する人はみんな、あわよくばそれを役に立てたい、実利を得たいと思っているだろう。一方、なぜまたフランス語なのか、という疑問が自然に出て来るとおり、いまフランス語を勉強しようという人は、大半自分でも「まぁ、こんなもん勉強しても、何の役に立つって訳でもないけどなぁ…」と思っているわけだ。このひねくれ方が、実はたいへん僕の気持ちにはしっくりくる(笑) それでもフランス語をやってみよう、という気持ちは信用できるというか、そういう人の心に僕は共感できる。僕が小説を書いている、まさにそれはそういう気持ちから、でもある。何かの役に立つからでなく、書きたいから書いているわけだ。これは僕にとって、基本的な生きる姿勢、といっていい。英語を学んで役に立てよう、というのは合理的な考えだろう。しかし悪くいえば、それはさもしい考えでもある。韓国語だってそうだ。比較において簡単に覚えやすい韓国語をやって、手近に安価に行ける韓国へ行って、おいしくて安いプルコギをいっぱい食べようとか、韓国の美人や格好いい男のコとちょっと話をしてみたい、などというのは、もうすぐそこに、具体的な見返りの設定された、なんともなんだか…な話だろう。
一方、どうしてフランス語なんか勉強するの、と訊かれても、そう簡単には「なるほど」と頷いてもらえる答は返せない。たとえば、
「さあね。俺はただ…ただ、パリが好きなんだよ」
そうしれっといって、でも、この答がなんと、まったくの、率直な気持ちの表白ですらありえる、というこのことが、いまフランス語をやるいちばんの醍醐味ではないか。そう思うのです。...Fin!
(c) 2004 yuichi hiranaka
プチット・リュミエール 森本英夫・三野博司/著 ¥1.470 駿河台出版社 ; ISBN: 4411004925 気楽に気分よく使える、フランス語・文法“パンフレット”。内容は十分、説明もクリア。 コメント 論理的である分かえって憶えるべき規則が多いようにも感じられるフランス語。この本のいいところは、その基本的な規則がこの小ささ、この薄さに収まっている、ということ。イメージ的に「なーんだ、たったこれだけか!」と気を楽にする(?)心理的効果がすばらしい(笑)。本文もすっきりとした1色刷で目にも心地いい。この手の参考書はがちゃがちゃと汚い印刷が多いけど、見た目に美しくないとページを開く気も起きませんよね。だいたい2色刷りとかいって、自分にとって重要な、たとえばいつもうっかり忘れるところだけがきちんとハイライトされている印刷なんて見たことない。結局あまり効果もなく、かえって見た目が汚い、ということになる。この本は、きれいです。 日常的に使わない外国語は、いちど理解したようでも「あれ、どうだったかな?」とふと確認したくなることがあれこれでてくるもの。特にいちいち理論的な説明が可能なはずのフランス語では気になります。そんな時、ぱっと掴んで気楽にめくれる小さなパンフレットのようなものでありながら、基本は概ね、しかも極めてクリアに押さえられているという、日々のリファランスにぴったりの1冊としてお薦めします。
ただし、定評あるフランス語入門書「新・リュミエールフランス文法参考書」から練習問題や索引などを省略してこの薄さ、このコンパクトさを実現した本書。リファランスにぱっと使うには、練習問題部分は邪魔なのでこれがありがたいわけです。けれど索引がないので、自分の知りたい事項がどの項目に入っているか、目次を見て見当がつかないと、馴れるまでは使いずらいかもしれません。リファランスとして使う人、つまり既にフランス語をいちど齧ったことのある人なら問題ないと思いますが、今年大学でフラ語をはじめた!というような初学者は、練習問題もほしいかもしれないし、あまり小さな本ではなく印刷も2色刷りになりますが、基本通りまずは「新・リュミエール」を買ったほうがいいかもしれません。 |
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