平中さん、こんにちは。「ポケットの中のハピネス」を拝読しました。
ご本を書かれたご本人に感想を申し上げるなんて、とても恥ずかしいのですが、けれど読み終わっていちばんの思いはやはり平中さんに最初にお送りしたいと思って、メールいたします。
刊行前にメッセージで「『麗しのUS』がとくに好きだという方には、もう1冊お気に入りが増えることになるのでは」と書かれていたので、それは私のことだわと、とっても楽しみにしていました。けれどあの可憐な本のページをめくり、読み進んでいくうちに思いました。
あ、しまった。ただひらひらと楽しみにしていた私は甘かった。そうだ、この痛み、平中作品を読むとこの本物の胸の痛みがおとずれるということを、私は忘れていたって。
私が『麗しのUS』をいちばん好きな理由も、この胸の痛み。本物の痛みのためです。
「ポケットの中のハピネス」という1冊の愛らしい短編集を読み終わって暫く、私は泣きましたよ。それは「みづき」を読んで流した涙とはまた別の涙です。女のコのこころのもっともふかいところからあふれてくる涙です。もう完全にknock outされちゃいました。
単行本未収録短編集ということで、私の手元には本になった平中さんの書物しかないので、どれも初めて読むものなのだなと思っていましたが、そうではないものもあってびっくりしました。それと時を経てこの本がやってきたこともとても幸福なことです。だってファンにとってのまさにミッシングピースがこんなに可愛らしいかたちにまとまって2002年の今、手元に届けられるなんて! 再会した愛おしいものがたりたち。そしてなにより驚いたのには気持ちに時差がないこと。二十歳の時に読んだ気持ちとそのまま同じ気持ちが甦ってきたこと。これはとてもうれしかったです。自分の中に失われていないものが確認されてうれしかったです。(もちろん少し大人になって新たに思うこともありましたよ。「アップル・オヴ・マイ・アイ」を読んで、「ああ、結婚してよかったな!」とか(笑))
帯のことばの通りに“あの日の私がここにいる”でした、この本を読んでいる間。あの頃のあの感じ(といってもそれはそれぞれ私だけのものですが)だって思った。そして胸が締めつけられた。
この本が平中さんの“青春譜”といえるなら、すなわち私達の青春譜でもあるんです。
だって男同士なら一晩中でも遊んでいられるのにさ/どうして女のコだと抱いちゃうんだろう?
この一節にはかなりやられました! 名言です。
こんなこといってる男のコ、向こうにまわして私達渡りあってたんだあと懐かしいやら可笑しいやら情けない(?)やら・・・(「まぬけな僕ら」)
噂の、「ポケットの中のハピネス」。これってとても短いけれど平中さんの世界をぎゅっと凝縮させてあるというか、どこまでも平中さんらしいというか、そういう作品ですよね。
「アップル・オヴ・マイ・アイ」・・・そうそう、私この作品、当時何度も何度も読み返して「スタイルなんて気にしないなどというほどスタイリストではない」とは?とか 既に口説いている声 とは? なんてぶつぶつ考えていました。当時の私にはちょっと大人っぽくてわからないところがあったんですが今読むとすべてがとってもすんなりとしっくりとそしてかわいらしくて一層好きになりました。野生時代(懐かしい!)をいつのまにか手放してしまって、長い時間が経って忘れてしまっていたのですが、再会できて本当にうれしいです。もう、絶対に忘れたりしませんから!(笑)
そして「恋風恋歌」。実はこちらの1編をいちばん楽しみにしていたんです。
現在の平中さんのいちばん面白いと感じる文体で、というようなことをおっしゃっていたので
どんなものなのだろうと期待していたのです。すごく自然で、かつ読みごたえがあり、すてきな文章でした。このような感じで書かれた平中さんの小説をたくさん読みたいです。
早くも新作が読みたくて堪らなくなっています。ファンって勝手ですね。
平中さんが書きたいことを書きたいように書かれた作品を読むことが私の幸せです。
いつまでも待っていますから、いつまでも届けてください。
思うままに書けず、長くなってしまいました。
うまくことばにならないのですが平中さんの小説が与えてくれる感動はいつも
恋する気持ちのいちばん深くて静かで美しい、湖のようなところを揺さぶるのです。
すてきな小説をありがとうございます。
お体にお気をつけて、どうぞごきげん麗しくお過ごし下さいませ。*2002.
5.28*
Mrs.Shiho S.(Favorite doll:彼女 from『麗しのUS』)
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