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Yuichi HiRANAKA à Paris!

『バレエ・カンパニー』 ★★ アルトマンのバレエ映画。
ネーヴ・キャンベル/ジェームズ・フランコ/マルコム・マクダウェル

アルトマン、というのは名前だけで新作がでたら観ようかなと思う、僕としては珍しい監督のひとりです(もともと熱心な映画ファンではありませんから!)コマーシャルなハリウッド映画とは少し外れた位置にいる(今や)大物で、ヒットするしないに関わらず俳優たちがこぞって出たがるというような、アメリカにも何人かはいますが、そういう玄人受けのする監督、なのでしょうね。僕も、たとえば、セリフが面白く、娯楽映画なんだけど商業的な娯楽映画にはありえない終幕がむしろ痛快、という「The Player」、そしてふしぎと心に残る佳作「クッキー・フォーチュン」(リブ・タイラーもチャーミング!)、後に大衆化されて大人気となった、多視点から平行して語られる物語が最後に集約される、あの体裁のパイオニアでもあった「ショート・カッツ」など、忘れがたい作品だった、という印象を持っています。
そのわりに、こちらのページではアルトマン作品、かつて「クッキー・フォーチュン」に言及したくらいで、とりあげる機会がありませんでした。じつは今回もどうしようか、と思ったのですが、こちらのページ、なぜか「センター・ステージ」のクリックがわりと多く、意外にバレエ映画、というのが好きな方が多くいらしているのかなぁ、とかねがね思っていたこともあり、アルトマン作品ということと合わせて、とりあげておくことにしました。

どうしようかなぁ、と思ったというのは、本作はアルトマンの中でも「プレタポルテ」(これはその昔、僕はパリ帰りのヴァージンアトランティックの中で見たきりなのですが…)で知られるような、ドキュメンタリーに近いタッチの作品です。★の数を少な目にしたのも、おなじアルトマン作品を見るなら、先に挙げた3作品などをまず見るのが順当だろうし、そことの比較、ということですね。またドキュメンタリーといっても、ほんとうにバレエのドキュメンタリーが観たいひとは、たとえば「エトワール」なんかを見たほうが満足するかもしれません。
「エトワール」といえば、パリに来てから偶然オペラ座で働いている女のコと知り合い、またその友達にも紹介されるなど、オペラ・ガルニエ関係の話をいろいろ聞く機会があったのですが、彼女たちにいわせれば、やはり世界最高のバレエはパリのオペラ座バレエ団(少なくともかつては)ということになり、おなじ世界最高レヴェルといってもロシアやアメリカのバレエ団がどうオペラ座のバレエ団と違うのか(違っていたのか)というような話もたくさん聞いたりしたので、よくは判らないなりにもこの映画を観ると、なるほど、アメリカのカンパニーのバレエだなぁ、と何となく妙に納得したりもしました(笑)ともかくどこまでもバレエ、バレエ団が写されている、というのがこの映画です。

しかしやはりこの映画のいちばんの見所は、といえば、アルトマンの世界、スタイル、といったようなものでしょう。
要するにバレエ、バレエ団が観たい、という人に一概にはお薦めできないかもしれない、というのもそのあたりで、生活や人間関係、人物を写すのはいつもながらの流麗なアルトマン・スタイルでなんの違和感もないのですが、この映画、ずいぶんながくバレエの舞台が映されます。
そしてそれが僕らが通常見馴れているバレエの写され方とはやはり違う、そこにもアルトマンのスタイルがある。…たとえば僕らがNY!といって、あるいはパリ!といって、みせられる映像は、非常に紋切り型、じつは決まった撮られ方をしているものです。やろうと思えば(というか実際そういう映像をこちらのTVで観たのですが(笑))パリをあたかもNYのように映すこともできるわけです。そのくらい、常套的なスタイルというのが僕らのイメージを固定しているし、逆に映像をつくる人もそれを利用しているわけです。でもたとえば、ウディ・アレンがパリを撮ったとき、彼はそういう常套的なパリのイメージを使いませんでしたね。アレンはニューヨークをもっとも美しく写す、といわれる監督ですが、ニューヨークについても、考えてみれば彼は常套的な撮り方は殆んどしてないわけです。つまり何を撮っても独自のアレン・スタイルなわけです。アルトマンがここでバレエを撮る撮り方にも、おなじことがいえるように思います。ここには独自のスタイルがある。たとえそれが一般的なもの以上に美しいかどうかはまた個々人の判断であるとしても、です。
「映画とは美術・セットである」というのは始終いわれることですが、要するにキャメラの前にあるもの・準備されたものをフィルムに焼き付けつなぎ合わせ、それをスクリーンに投影したとき、ひとつの別世界・見せ物が生まれる、というのが映画で、キャメラの前に何があるか・何を準備しておくか、というのがそれがフィルムごしの光と影になったとき:映画となったときどういうものになるか、ということのある意味でほぼ全てである、というのは当然のことでしょうし、そのキャメラの前に、舞台――つまり既に見せ物であるものを置く、これもまた映画のひとつの原点、でしょう。
ともかくいつものことながら、あれこれ考えさせられるのが楽しい、アルトマンの世界です。

(04/09/06)

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