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Yuichi HiRANAKA à Paris!

『ロスト・イン・トランスレーション』 ★★★L 中年駄目オヤジが王子になり、さえない小娘が天使になる、現実のなかに成立させられたフェアリー・テイル(!)
ビル・マーレィ/スカーレット・ジョハンソン

パリに来て以来、あまりにフランス語がややこしく(笑)ロマコメを観るゆとりもちょっとありませんでした。とくにこの作品については、この監督のデビュー作を観て、さらにまた舞台が東京ということだったので、公開当時、観たい気はちょっととてもしませんでした。今の東京はロマネスクでもエグゾティークでもなく、単に不格好でモノトーンな、僕にはまったく魅力ない街だからです。僕は変わったものや面白いもの、便宜的なものに惹かれることはあまりなく、美しいものや詩のあるものが、いつも一等好きなのです。
しかしそれを今になって観たというのは、やはり舞台が東京ということで、パリにいるとあの映画を観たか、とわりに何度も訊かれるから。そしてとくに日本人の間で評価がかなり極端に別れている、好きなひとは絶賛するし、嫌いなひとはほんとうにつまらないというから。じつのところどうなのか、自分で確認したくなりました。
結論からいうと、舞台が現代の東京という僕にとっては鼻白む部分を差し引くなら、なかなかいい佳作、と思いました。(佳作、というのもまた、僕には一貫してむしろ相当いい評価だということも、古くからの読者のみなさんはよくご承知のところ、でしょうね(笑))
中年の駄目オヤジも当を得た相手にとっては瞬間的にプリンス・チャーミングになれる。メディオークル(凡庸)なフラストレーションに苛まれるメディオークルな小娘も、その彼にとっては天使になれる、という、儚い、けれど夢物語ではない、現実の中にアダプトされたお伽噺、という印象で、なかなか鋭くピンポイントを衝いている、という感がいたします。しかし何よりこの物語のミソは、なんといってもその小娘をスカーレット・ジョハンソンが演じていること!というと、これはやはり男の意見でしょうか?(笑)ささやかだけれどおそらく主人公にとっては生涯忘れられない1週間でしょうが、それは彼女がスカーレット・ジョハンソンだったから。全てはこの一点にかかっている映画、という気がしました、僕は(笑)もちろん外見だけなら彼女はただのアトラクティヴな女のコ(桁外れにではあっても)でしかなく、このキャラクター・この内面があって初めてひとの心に残る人物、つまり主人公にとっては天使になりうるわけですが…役名でいってシャーロット。こんなコにもし出会ったら、もちろん僕だって降参です(笑)
…まぁ、やや異論もあるでしょうが(笑)ともかく冴えない男でも凡庸でありきたりな小娘でも、瞬間的には互いにとってかけがえのない存在になれる、そんなお伽噺のような希望にリアリティを与えることに成功している、という点で、これは非常にポジティヴな映画だし、そのあたりを強く感じるひとにとっては思わず落涙、という映画でもあるでしょう。

タイトルから予想される日本人を戯画化した部分、というのは時間帯としてむしろ殆んどなく、しかも殆んど毒がありません。ひっかかるとすれば、それはじつは日本人俳優たちの技倆に、でしょう。スカーレット・ジョハンソンが「どうして彼ら(日本人)はrとlを切り替えないの、ここでは?」と訊くのに対し、主人公はただJust mixed it up, they have to amuse themselves, みたいな返事をしてましたね。これはなかなかいいユーモア、やっぱりポジティヴな返事だと思います。
結局この映画が全然つまらない、というひとは…多分まだ心の幼いひと、この映画の中に流れるなんていうことのない優しさには気づかない、反応しないひと達なのかもしれません。

…自分が納得できない時は、まず静かに黙って自分の理解の十分さを問い質すのが筋ですが、そのかわりに、たとえばこれはこういうジャンルの映画だとか、これはこういう系統にある作品だとか、外面的・表面的に語る、たとえば事実などを、という式でもっともらしく片づける、というものも昨今あまりに始終見受けますが(笑)こちらでは、そういう素人臭いことはしません(笑)しくじることも多いですが(笑)なによりもメタレヴェルでの類型化を退け(!笑…類型的だ、という判断そのものが類型的になってる、とか、そういうこと、ですね・笑)時には拙くとも、いつも僅かではあってもよりほんとうに近いことを、素直に語っていければ、と思います(きっぱり!)
クレジットのローリング、最後に懐かしい歌が聞こえてきたときは、思わず「おーっ!」といいましたよ(笑)たまにとか、こんなふうに不意討ちで聞くと、やっぱりいい歌だなぁ、と思いますね( ;

(25/08/06)

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